「債務整理」に関するお役立ち情報
債務整理の退職金への影響
1 債務整理の種類によって退職金への影響は異なる
債務整理においては、退職金は将来的に受け取ることができる財産とされ、債務整理の種類によってその取扱いが異なります。
任意整理は、一般的には退職金への影響は小さいと考えられます。
個人再生や自己破産においては、退職金が実際に支給されていなくても、退職金見込額の一部が保有財産とみなされることがあります。
以下、各債務整理の種類と退職金の影響について説明します。
2 任意整理と退職金との関係
任意整理は、裁判所を介さずに、貸金業者等と直接交渉して返済金額や返済期間を変更する手法です。
任意整理において重視されるのは、返済原資(月々の手取り収入から生活費を控除した残額)が、任意整理後の想定返済額を上回っていることです。
債務者の方の保有財産の状況は、基本的には問われません。
そのため、退職金についても、支給前の段階であれば原則として影響はありません。
実際に退職金を受け取った場合には、その金銭を返済に充てることを検討します。
3 個人再生と退職金との関係
退職金は、債務整理の時点では支給されない将来の財産であることを考慮し、一部のみが対象とされます。
個人再生においては、一般的には、退職金見込額の8分の1が清算価値に算入されます。
退職金の支給時期が近い場合には、4分の1になることもあります。
清算価値は再生計画における最低弁済額に影響するため、退職金が高額である場合には、その分返済額が増える可能性があります。
勤続年数が長く、退職金見込額が大きい場合には注意が必要です。
なお、個人再生をするからといって、退職を強いられて退職金を受け取らなければならないということはありません。
むしろ、個人再生においては継続的な返済が必須ですので、就労をやめてしまうことは矛盾ともいえます。
4 自己破産と退職金との関係
自己破産においても、自由財産の拡張が認められない限り、退職金見込額の8分の1が破産財団に組み入れられます。
退職金の支給時期が近い場合には、4分の1になることもあります。
ただし、既に退職して支給を受けた場合には預貯金の形になることから、その全額が財産として扱われ、債権者への配当に充てられる可能性があります。
退職前後のタイミングで自己破産をする際は、十分な注意が必要です。
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