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「債務整理」に関するQ&A

銀行口座が差し押さえられたのですが、どうすれば良いですか?

  • 文責:所長 弁護士 水野高徳
  • 最終更新日:2025年7月3日

1 銀行口座が差し押さえられてしまったら

「銀行から給料を引き出そうと思い、ATMで手続きを行うとしたら、残高が『0円』となっていました。通帳に記帳して内容を確認してみると、『サシオサエ』と記入されていました。」

借金の滞納を続けると、このように口座を差し押さえられてしまうことがあります。

口座の差し押さえは「凍結」とは違うので、その後も該当の口座に入金等をすることは可能です。

しかし、借金の返済のために預金を強制的に回収されるため、その後の生活への影響は多大なものになると考えられます。

今回は、銀行口座の「差し押さえ」について、基本的なことから差し押さえ後はどう対処すれば良いのかまでご説明します。

2 差し押さえについて

⑴ 差し押さえとは?

「差し押さえ」とは、債権者(お金を貸した側)が、借金などを滞納している債務者に対して行う、裁判所を介した強制執行の一つです。

差し押さえられた預金は、差し押さえをかけた債権者に対する借金の返済に充当されることになります。

つまり、債務者が債権者に債務(借金)を返済しない場合に、債権者が強制的にお金を回収する裁判所の手続が「差し押さえ」なのです。

住宅ローンやカードローン、キャッシング、消費者金融からの借入を行っていて、その借金の返済が長期にわたって滞納されている場合には、これが原因で実行されることがあります。

⑵ 差し押さえのタイミング

差し押さえはいきなり実行されるわけではなく、実際には、その前に債権者からの督促状が何度も送られてきているはずです。

これらを無視すると、滞納から半年ほどで、債権者は裁判所で手続を行い、差し押さえによる回収を行なうことになるのです。

なお、差し押さえを受ける前には、債権者から「支払督促」や「訴状」が特別送達という形で送られてきているかと思います。

裁判所から特別送達が届いた場合の対応についてはこちらをご覧ください。

その後、具体的にいつ差し押さえが行われるかは債務者側では事前にわかりません。

差し押さえは、債権者のタイミングで実行することになるのです。

例えば、債務者の給与振込日と振込先口座がわかっている債権者が預金差し押さえをかけるならば、給与振込日当日の預金の差し押さえを狙って差押手続に着手することも考えられます。

【税金滞納の場合は突然強制執行・差し押さえが行われる】

通常、債権者が差し押さえを行なうには、その前提として、判決等の債務名義を取得する必要があります。

しかし、滞納しているものの種類によっては、裁判等を経ずに、つまり債務名義なしで、いきなり強制執行が行われ、差し押さえが実行されてしまうケースもあります。

具体的には、税金の滞納に基づく滞納処分です。

税金の滞納の場合、銀行などからの借入と異なり、滞納者に通知しなくても差し押さえできる権限があります。

このように、差し押さえは通知なしでいきなり行われたかのように感じるかもしれませんが、実際には法的な手続を行い、裁判所による判決等が出た後に実行されています。

とはいえ、差し押さえられた本人は「なぜ今、このタイミングで差し押さえられたのか」分からず、混乱してしまうことも多いようです。

⑶ 差し押さえの対象

差し押さえの対象は、預金だけとは限りません。

預金と並んで「給料」も差し押さえの対象となることが多いです。

預金差し押さえの場合は、金融機関に差し押さえ通知が届いた時点での預金残高が(債権額以下であれば)全額差し押さえられてしまいますが、給料差し押さえの場合は、生活できる一定金額のみを残して差し押さえされます。

すなわち、債権者が全額を回収するまでの間、原則として給料の4分の1が毎月差し引かれ続けることになります。

これ以外にも、換価価値のある物(自動車、株式、解約返戻金のある保険等)や不動産などが、差し押さえの対象となることがあります。

ちなみに、差し押さえられる口座ですが、債務者名義の口座のみです。

家族等の第三者名義の口座は、原則差し押さえの対象になることはありません。

これに対し、債務者の旧姓で開設された口座や、債務者の自営の屋号入りで開設された口座などは、口座名義人=債務者本人なので、債権者の方で、口座名義人と債務者の同一性を証明できた場合には、差し押さえの対象になる可能性があります。

⑷ 差し押さえの期間

一度差し押さえをされた場合、再度差し押さえられる可能性があるのかなどを心配している方も多いかと思います。

預金の差し押さえの場合は、差し押さえが数回に分けて行われることはなく、一回限りの手続きです。

つまり、一度差し押さえが行われた後は、解除までの日数などの規定もなく、今後の差し押さえはありません。

ただし、ある一回の差押手続でいくらか回収し、その手続が終わった後、残った債権の回収を目的に改めて一から預金差し押さえを行なうということはあり得ます。

給与の差し押さえと異なり、差し押さえが実行された口座に新たな入金がされても、その部分の預金については、新たに差押手続を踏まない限り差し押さえを行うことはできないことになります。

また、差し押さえにより口座が凍結されることもないため、差し押さえされた口座は、その後、残高ゼロの状態から、そのまま使い続けることができます。

3 どこからの差し押さえかの確認方法

⑴ 書類の確認

口座の差し押さえを受けた場合、通帳には「サシオサエ」という文字が記載されているのみで、一体誰から差し押さえられたのかは確認できません。

この場合、どのように確認すれば良いのでしょうか。

まず、差し押さえをするのは「滞納先のいずれか」ということになりますので、仮に、借金を滞納している先が1箇所だけという場合は、その債権者が差し押さえを行なっているはずです。

これに対し、複数から借金をしている場合で、滞納も複数あるという場合は、これまでに届いた書類を確認してください。

その中に、裁判所からの書類(訴状・判決等)があれば、その内容を確認すれば、差し押さえてきた相手がわかります。

他方、業者からの借金がない場合は、税金滞納による差し押さえの可能性も考えられます。

これまでに役所(税務署)から届いている書類を確認してみてくさい。

「○月○日に差し押さえをします」などという具体的な差し押さえの通知はあり得ませんが、「このまま滞納が続けば、あなたの財産を差し押さえますよ」という予告通知は事前に届いているはずです。

⑵ 差し押さえをした債権者を確認すべき理由

預金を差し押さえられてしまった場合、それを返して貰う方法は基本的にありません。

しかし、「法的に不当な差し押さえだ」「差し押さえられた預金の中身が年金で、このままでは生活ができない」などという場合は、裁判所に対して執行抗告という不服申立てをしたり、「差押禁止範囲の変更」を申立てたりすることができます。

そのため、銀行口座の差し押さえをされて生活が困窮してしまった場合は、できるだけ早めに対応すべきです。

というのも、差し押さえから1週間以内であれば、まだ銀行にお金が保管されており、債権者に現実にお金が渡る前であるため、対処が可能な可能性があるのです。

しかし、通常、差し押さえから1週間が過ぎると、銀行から債権者にお金が渡ってしまうため、その後に差し押さえを止めることはできません。

このため、まずは差し押さえを受けたら、差し押さえをかけてきた債権者が誰なのかを確認する必要があるのです。

4 口座差し押さえに関する疑問Q&A

最後に、口座差し押さえに関するよくある疑問にお答えします。

⑴ 口座が差し押さえられたら会社にバレる?

預金の差し押さえの場合は、差押命令の送達先は金融機関なので、勤務先に裁判所や債権者から預金差し押さえに関する連絡をするといったことはなく、基本的にはバレません。

しかし、給料が差し押さえられる場合は、給料の金額などを確認する必要があるため、先に勤務先に問い合わせがあります。

差押命令も勤務先に送達されることになります。

そのため、給与の差し押さえの場合は、勤務先にバレてしまいます。

⑵ ネット銀行は差し押さえされない?

これは、債権者がネットバンキングの口座を知っているかによります。

ネットバンキングの口座だからといって、絶対に差し押さえられないという保証はありません。

基本的に、差し押さえができるのは債権者が覚知している預金などの財産です。

預金差し押さえをする場合は、債権者の方で、「○○銀行○○支店にある債務者の口座の預金を、○○円を限度として差し押さえて欲しい」という特定をした上で、裁判所に申立をする必要があります。

借金の申し込みをする際に、債権者に伝えていた口座がネットバンキングであれば、その口座に対して差し押さえが行なわれることになるでしょう。

5 口座の差し押さえを受けたら弁護士にご相談ください

ひとたび差し押さえを受けたら、不当な差し押さえ以外は、解除・中止することはできません。

既に差し押さえをされてしまったという場合は、お早めに弁護士へご相談下さい。

再度差し押さえをされてしまうことがないように、滞納している借金がある場合は、できる限り対処しておくことが大切です。

もし、これ以上支払いきれない程に借金が膨らんでいる場合は、任意整理、自己破産、個人再生などといった、債務整理を検討することをお勧めします。

今後の差し押さえを防ぐためにも、預金を差し押さえがあったら、すぐに弁護士にご相談ください。

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